白銀の女神 紅の王
「ほ、本当に大丈夫です!この様子じゃ、たくさん寝ていたみたいですし。」
伸びてきた手から逃れるように、乗っていたシルバの膝の上から後ずさる。
せっかく目を覚ましたのに、また寝たくはなかった。
こんなひと時は、二度と訪れない気がしたから…
「もう、熱もありませんから。ほら、大丈夫でしょう?」
そう言って、立ち上がり、目の前を歩いてみせる。
けれど―――――
「ッ…………」
突然襲った眩暈に、視界がグラリと揺れる。
重力に逆らうことなく倒れて行く体に、衝撃を覚悟した。
ギュッと目を閉じ、きたる衝撃に備えるが…
トサッ―――――
次の瞬間、目を開けば…
そこは、少し固いけれど、とても温かいシルバの腕の中だった。
目の前には、天井を背景としたシルバの見下ろす顔。
「ありがとう…ございます……」
焦った様に歪む紅の瞳に魅入りながら、ポツリと呟く。