白銀の女神 紅の王
ただ、今はこの腕の中にいたい…
無意識にシルバの服をキュッと掴んで、その逞しい胸にすり寄る。
引き離されるのではないかとヒヤヒヤしたけれど、シルバは私の後ろ髪に手を指し入れ、自分の方へ引き寄せた。
そして、力強く抱き寄せる手は、ある一点に当たる。
「っ………!」
シルバは、私が上げた小さな悲鳴を聞き逃さなかった。
「ッ……すまない。」
そう言って、今まで縫い付ける様にして抱きしめていたのが嘘のように、バッと距離を取ったシルバ。
心地良い温もりが消え、寂しく思うけれど、自分から抱きつく勇気など持ち合わせていなかった。
「大丈夫です。」
「まだ痛むのか?」
しゅんとした声と共に言ったからか、シルバは深刻そうな表情をしてこちらを見る。
「い、いいえ!」
咄嗟に否定する声が大きく後宮に響く。
目の前には、軽く目を見張るシルバ。
「こうしている分には痛みません。体が少しだるいくらいで。」
シルバに心配をかけるわけにはいかないわ。
それに、事実、背中の傷は触れさえしなければ大丈夫そうだし…
しかし、シルバは依然として険しい顔をしたままだった。
「体調が戻っていないならまだ寝ていろ。」
そう言って、またベッドへ戻されそうになる。