白銀の女神 紅の王
そう考えながらもふと気づけば、後宮の扉の前。
キィ―――――
そっと扉を開ければ、月明かりが支配する後宮へ足を踏み入れる。
そしてベッドへ目を向ければ……
いない……ッ…!?
ベッドはもぬけの殻だった。
まさか…本当にこの王城を抜け出したのか?
あの時は“逃げない”と断言していたが、まだあの賭博場に未練があったのかもしれな。
いやあのジェスという男に…の間違いか。
チッと悪態をつき、後宮を後にしようとした時…
目の端に何かが映る。
ふと、その方向に目をやれば、ソファーですやすやと眠るエレナがいた。
「逃げていなかったのか…。」
思わず、声に出して呟く。
そして、そっとエレナの眠るソファーに近づく。
ソファーも大人一人寝れるくらいに大きいものだったが、エレナは体を抱えるように小さくうずくまって寝ていた。