誘拐犯は私の彼氏!?
いくら春だといっても、まだまだ丘に吹く風は冷たい。
冷えきった私の手をいたわるぶっきらぼうな優しさに少し驚いた。
「……なんだよ。」
びっくりして目を丸くしている私を横目でちらっと見て、怪訝な顔をする。
「ちょっと、びっくりしたのよ。」
「なんだよそれ、失礼なやつ。」
「別にー。」
「変なやつ…。」
じっと見つめていたのに、少し顔を赤らめて目をそらす男を見てると、私まで顔が火照った。