誘拐犯は私の彼氏!?
顔の火照りが落ち着いた頃、私は疑問を口にしてみた。
「あんた、なんでここにいるの?」
だって、ここは早々に人が来る場所じゃない。
少し小高いこの丘には、桜の木はこれ一本だけだし。
お花見なら、ほとんどの地元民が隣の観光地になっている山を使う。
特別何かあるわけでもない。
「ここ、整備されてないだけで眺めがいいだろ。
人混み苦手だし、考え事にはちょうどいいんだよ。」
「何よ、考え事って。」
「関係ないだろ。」