誘拐犯は私の彼氏!?



顔の火照りが落ち着いた頃、私は疑問を口にしてみた。


「あんた、なんでここにいるの?」


だって、ここは早々に人が来る場所じゃない。


少し小高いこの丘には、桜の木はこれ一本だけだし。


お花見なら、ほとんどの地元民が隣の観光地になっている山を使う。


特別何かあるわけでもない。


「ここ、整備されてないだけで眺めがいいだろ。


人混み苦手だし、考え事にはちょうどいいんだよ。」


「何よ、考え事って。」


「関係ないだろ。」



< 150 / 164 >

この作品をシェア

pagetop