誘拐犯は私の彼氏!?
「……はい。」
わかってるよ、そんなこと。
ばあやのため息を無視して、螺旋の階段をおりる。
下にはきれいな着物を着て、他人と張り合う女の人と、偉ぶってただ人の作品をけなすだけの男の人。
いつみたって、吐き気がする。
何であんなことするんだろう?
人に勝って、なんになるの?
争いになるだけじゃない。
大人たちが固まって話している横を通り抜け、端の空いている椅子に座る。
いつもこの調子で、展覧会をやり過ごす。