誘拐犯は私の彼氏!?
………手をたたく音?
僕が顔をあげたとき、いつのまにか僕とおじさんの間には、女の人が立っていた。
この場には到底馴染まない、真っ黒なズボンのスーツを着た、子供を抱いたきれいな人。
「さぁもう解散ですよ。
見せ物じゃないんだから。」
ざわつく広間をよそに、僕の手を引いて歩きだす。
何がどうなったのかわからない。
ただ、この場から早く逃げたかった僕は、黙ってついていくしかなかった。