塾帰りの12分


◆北見孝太郎side



『はい……。
えっ、ちょっとや……』

『今、食事中……』

『……向こう……急用……』


聡美?

男の声は父親か?


食事中、っつったか?

ケータイを耳にあてたまま、部屋の時計を見る。

ああ、夕飯時だったか。

まずい時間に掛けちまったかな。


電話の向こうからは、なにやら派手に争う雑音が聞こえてくる。

だが、次の瞬間。


『ツーーー』


切れた。

< 288 / 350 >

この作品をシェア

pagetop