塾帰りの12分
かじかんだ手で触れた缶はとても熱く、こぼしそうになるのを危うく持ち直した。
「あのっ?これは?」
「いいから持ってろ」
命令口調で言われ、ムッとしながらも言われたとおりにしてると、北見先輩はケータイを出した。
人に缶持たせて何するつもり?
見ていると、どうやらまたサッカー中継みたい。
その画面を見ながら、北見先輩は聞いてきた。
「で?
覚えてきたか?」
「…………」
私は熱い缶を、右手から左手、左手から右手へと持ち替えながらしぶしぶ答えた。
「……いえ、覚えてません」