あなたのメール、代行します。
「オマエ、ホント、幻の先輩好きだよな」


「そりゃそうさ。入った理由なんだから。俺と幻の先輩の出会いはそう、なんとなく参加した書道サークルの新入生歓迎コンパだった」


「ああ、なんとなくだったのか。てかオマエ、それは誰に向かっての語りなの?」


「書道サークルの一員として俺を迎えてくれた幻の先輩は、とても俺好みの顔だった。惚れた。サークルに入った」


「ちょっ、ちょちょーい! 後半テキトーだな! 超短いダイジェストしか紹介されない、情報番組のスポーツコーナーか!」


「だがしかし、“幻”と呼ばれる理由は、その後にある。その先輩は、新入生歓迎コンパ以降現れなかったのだ」


「うん、あのさ、そろそろ気づいてくれない? オマエ騙されたんだって。あの子、ホントはうちには所属してないから」


「いや、違う! そんなはずがない! だって、幻の先輩は言ったんだ。“私、書道とあなたが大好きよ”って」


「ちょっ、ちょちょーい! 絶対空想入ってるだろ! 夢と現実がごっちゃになって、何がなんだかわからなくなっちゃった人か!」
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