あなたのメール、代行します。
♪♪♪


「俺の聞き間違えだろうか。友だちがいない大仏和尚の携帯が鳴ったような気がした」


「ちょっ、ちょちょーい! ホントに鳴ってるから! 彼女がいないと思ってた友人が女の子と歩いているのを見かけて、あれはあいつの妹なんだと自分に言い聞かせてる人か!」


「まあいい。オレ、ちょっと出てくるわ」と捨てゼリフを残して、小仏は部屋を出ていった。

この部室……ってか、サークル室だけど、ひとりになるとなんか寂しいんだよね。

広さ六畳で、コンクリートの打ちっぱなしの部屋に、畳が2枚あるだけ。

他にはテレビもないし、冷蔵庫もない。あるのと言えば、無造作に置かれた半紙と筆とそれから硯。

つまり、書道に使う道具だけってこと。あんな先輩でもいないよりはいる方がいいんだよな。


 それにしても、なぜ鳴らない、俺の携帯。

今日も100通送ったんだし、1通くらい返ってきてくれてもいいじゃん。

ちきしょう、なんで俺の面白さが女たちに伝わらないん……


♪♪♪


 伝わら……伝わ……伝わった!?

おいおい、マジかよ、今鳴ったよね。俺の携帯。

こんな時間に目覚ましかけてないし、今の音は間違いなくメールだよね。

よし、開くぞ。さあ誰からだ……オープンザ、ケータイ!!!
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