夢でもいい
「ごめん、貼ってたことすっかり忘れてた!
…やきもち妬いてくれたの?」

ふ~んと、勝ち誇ったような顔だ。

「そりゃあ、いい気分じゃないよ。…どうせなら、わたしの貼ってよ。」

みちるは、制服のポケットの中から1枚のプリクラを差し出した。

七海と加奈子とで撮ったものだ。

翔太はそのプリクラを見ながら言った。

「う~ん、どうしようかな?」

「えっ?…嫌、なの?」

みちるは不安そうに聞いた。

翔太は、くすっと笑い否定した。

「嫌じゃないけど、もっと最適なプリクラがあるんじゃないかと思ってさ!」

「もっと最適なもの?」

翔太はうなずいた。

「そう、俺とみちるのプリクラ。」

「まだ撮ったこともないじゃない…。」

みちるがやや不満そうに言うと、翔太はまたニヤリと笑った。

翔太は、みちるの手をとり理科室を出ながら言った。

「だから、今日さっそく撮りに行けばいいじゃん?」

翔太の笑顔を見て、みちるは嬉しくなった。

―よかった。いつもの翔太だ。―

ぎりぎりで午後の授業に間に合うように、教室に滑り込んだ。

上の空で歴史の授業を聞きながら、みちるは早く放課後になればいいのに、と考えていた。
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