幸せタクシー
一通り検査が終わり、医者は看護婦と話し合い、私に伝える。
医者:「大丈夫です。特に異常はありません。吐き気や痛みがひどくなったりなど何かあればすぐに知らせて下さい。またしばらくは激しい運動等はやめて、安静にしておいて下さい。」
「…はい…。あの、私、どうなったんですか?」
医者はクイッと自分の眼鏡を、右手で上げると話し出した。
医者:「事故にあったんです。救急隊員から聞く所によると、運転を誤った車が、貴女たちを跳ねたそうです…。」
事故…―。
貴女"たち"…?
「私、車に跳ねられたの…?…私の他にも誰かが…?」
目をつむって記憶をたどるように必死で思い出そうとする。
凄く雨が降っていて…
そうだ、私は学校が終わって電車で帰らずに歩いて帰ったっけ。
もう20分ほど歩けば家だった。
暗かった。
けど一瞬何かがピカッと光って…
何かを思い出しかけた時、医者は話し出した。
医者:「私はその場にいない身でしたので、これは推測でしかないのですが、貴女は車に直接跳ねられたようには見えません。」