偽りの結婚(番外編)
「今年で20歳。さぞお喜びの事と存じ上げます。」
ハッキリとは言わずとも、含みのある言葉。
ウィリオットは王宮での私の苦労や、周りからの風当たりの事を知っているのだ。
「そうね。今までの誕生日とは違った喜びがあるわ。」
「今までの誕生日よりも、嬉しそうな表情をしておいでです。」
ウィリオットの言葉に、顔を赤くする。
自分では抑えていたつもりだったけど…
そ、そんなに嬉しそうな顔をしていたのかしら。
この歳にもなって、自分の誕生日を喜ぶなんて、端から見たら恥ずかしい。
恥ずかしさに顔を赤らめている私に、ウィリオットは微笑み…
「ラルフ様からは、もうお誕生日プレゼントを?」
「えぇ、スターチス…というお花を頂きました。」
話題を変えてくれたことにほっとしながら答える。
「スターチス……」
花の名をゆっくりと呟くウィリオット。
「ご存じなんですか?」
「ノルマン家の庭にはありませんが、その花なら存じ上げております。」
さすがウィリオットさん…博識だわ……
なんて、考えていれば―――
「こちらのお部屋になります。」
同じような造りの扉が並ぶ廊下で、ピタリと歩みを止めるウィリオット。