偽りの結婚(番外編)
子供の僕らには母様を助けることなんて無理だった。
そんな無力を感じたからか。
緊迫した雰囲気が和らいだからか。
父様の手があまりにも温かくて頼もしく感じたからか…
ポロッ……
気づいた時には涙が零れていた。
けど、それがとても悔しくて。
キュっと口を結びながら涙を流す。
そんな僕に父様はフッと笑う。
「母様を守れなかったことが悔しいか?」
笑いながらそんなことを言うから腹立たしい。
けど、本当の事だったからコクンと頷いた。
「その気持ち覚えておくんだ。レオの大切な人を守れるよう強くなれ」
その言葉にハッとして涙が止まる。
いつもへらへらしてて僕たちから母様を取り上げるし。
母様を苛める父様だけど…
少し……ほんの少しだけ父様を見直した気がした。