偽りの結婚(番外編)
気が………したのに。
「ゃ……ラルフ…やめッんん」
父様と母様の寝室の前―――
あのパーティーが終わった後、僕とレナは自分たちの部屋に戻った。
レナは今日一日の疲れがどっと来たようで部屋に戻るなりベッドへもぐりこんで寝た。
けれど、僕は重要なことを思い出した。
父様から預かっていた指輪――――
母様と同じデザインのその指輪はきっと大事なものに違いない。
だからこそ今日中に返したいと思ったのに…
「も……ぁッ!!」
寝室の扉の前までくれば、母様の悩ましげな声。
「今日は…も…むり……」
「無理じゃないだろう?シェイリーン」
母様に嫌々何かを強いている様子の父様。
「何のために帰りの馬車で寝かせてあげたと思ってるんだ?」
「本気だったの!?」
驚く母様に父様は「当たり前だ」と答える。
「そんなっ……」
「はい、言い訳は聞かないよ。あんな薄汚れた男に触れられた罰だ」
その後、「きゃっ」と小さく上がる母様の声。
ボスンッ…と聞こえた音はベッドに放られた音だろうか。