偽りの結婚(番外編)
「あぁ、それについては、父上と母上に許可をもらっている。」
満面の笑みで答えるラルフに、唖然とする。
驚くべきことに、もう、許可まで貰っているとは・・・
「君も僕も、身の回りのことくらい自分たちで出来るし、たった数日のことだ。少しは二人きりにしてほしい、と頼んだら、すぐに許可は下りたよ。」
ラルフと二人きりで旅行……
妃という立場にたってから、こんな日が来るとは思ってもいなかった。
思っていた以上に、公務が多くて、ラルフと二人きりでゆっくりできる時間は夜だけだったから。
時間はあるのか、許可は取ったのか等など心配事は多くあったが、二人で旅行に行けるとなると、喜んでいる自分がいた。
けれど、ふと、ラルフの手元に目が行く。
ラルフが持っているのは、束になった書類。
いつも、ラルフはベッドに書類を持ちこんでサインをして、横で本を読むのが日課になっている。
しかし、今日はその書類の量が多い気がする。
もしかして…と、シェイリーンはある考えが浮かんだ。