ジキルハイド症候群
唖然としているあたしに、蒼真は勝手にあたしの鞄を取り、立たせた。
「帰るぞ」
グイッと手を捕まれ、ハッと我に返るとその手を振り払う。
「何しに来たの?」
「迎えに」
「何を勝手に……!」
頼んでもいないわ!
しかし、蒼真は平然としながらあたしの鞄を肩にかけた。
「勝手にしろって言っただろーが」
「!」
「だから、勝手にしてる」
帰るぞ、と再び腕を掴まれ、振り払おうとしたが、ギリッと力を込められ振り払えない。
「………何あれ」
「海江田さんと陵南さんがなんで?」
「てか、海江田さん彼氏いたよね?」
ヒソヒソと話し声が嫌でも入ってくる。
(この男のせいで……!!)
ズルズルと引きずられながらあたしは蒼真を睨み付けた。