ジキルハイド症候群



「一体なんなのよ!」

「あ?」


肩越しに見下ろされる。
鋭い目から見下ろされるのは若干怖い。
怖じ気づくのを叱咤しながら反論する。


「こんなことして、変に疑われるじゃない!」

「疑われる?」

「あたしと貴方よ!」


なんの関係もないのに、さっきの空気からして絶対何か言ってる。
それが隣のクラスに飛び火して、学年、学校全体へと広まっていくんだ。


(茉里の耳に入ったら、何を言われるか)


想像しただけで胃が痛くなる。


「いいじゃねえか。事実だし」

「はぁ?」

「俺は、お前が好き。つまりお前は俺の」


……………なにその俺様持論。


あたしは、呆れて何も言えなかった。


「蒼真ー恵里ちゃんー」


名前を呼ばれてそちらを向くと、手を振っている茶髪。


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