ジキルハイド症候群



「静かな場所を探しに来たの」

「そうか……蒼真は?」

「蒼真?知らないわよ」


いちいち言うわけないじゃない。
今日はまだ会ってないし。


そう言うと、マリモはため息をついた。


「アホだろ」

「失礼ね」

「事実だろ」


マリモは、またため息をつくと、ポケットからひとつの鍵を取り出す。


「ほら」

「これは……?」


手のひらに乗せられそれをまじまじと見ながら首を傾ける。


「屋上の鍵」

「屋上の?」

「立ち入り禁止なんだから開いてるわけないだろ」


そうだけど、どうしてマリモが鍵を持ってるの?
そう聞くと、内緒だと言われた。


そのままあたしの横を通りすぎたマリモは、去り際にポツリと呟く。


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