ジキルハイド症候群
我知らず身構えてしまう。
茉里は、チラッとあたしを見てすぐに視線をそらす。
視線をそらされたことにあたしは、安堵の息を溢す。
「ほら恵里、早く食べないと遅れるわよ?」
「あ、うん」
お母さんに促されてあたしは椅子に座る。それと同時に茉里が立ち上がった。
「ご馳走様ー」
食べ終わった茶碗そのままに茉里は鞄を持つ。
「行ってきまーす」
出ていき際にカウンターに置いてあった弁当箱を片手に茉里は出ていった。
「行ってらっしゃい………て、またあの子は………」
お母さんは、食卓に取り残された皿達を見てため息をつく。
「そのままでいいよ。あたしが片付けるから」
皿に手を伸ばそうとしていたお母さんを止める。