この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


1人掛けソファの縁に手を置いて頬杖を突く姿は、まさに俺様以外に何と言う…。



「オマエ、何バカやってんだよ。
祐史さんが好きなクセに。そうだろ?違うのかよ?
人がせっかく突き放してチャンスやったのに、バカじゃねぇ?」

ハァ…と、いつになく大きな溜め息を吐き出しては、冷たく詰(なじ)る尭くん。


ちょっと待ってくれ。さっきの甘い時間は、私の勝手な妄想だったのか?



「一生に一度きりのチャンスを、あえて棒に振るってバカすぎ」


「っ・・・」


何だコレ。明らかにヒドイ。ヒドイよ。ヒド過ぎる…!



「…違うって言ってんでしょ、アホ男!」


次々に出てくる身勝手な言葉に、何かがブチっと頭の中で大きな音を立てて切れた。


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