この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
とはいえ。大学のゴルフサークル以来、まともな運動をしていない身体には堪えた。
ハァハァと息を切らして正面玄関へ向かい、キョロキョロと左右を確認して姿を探していれば。
「あ――!」
FOXEYの水色ワンピースを纏った、蘭さんとおぼしき女性を見つけてソチラへと走り出した。
…筈なのに。あれほど必死だった私の足はピタリと動かなくなってしまう。
「・・・え?」
大きく息を上げていた呼吸が止まりそうなほど、グッと胸を締めつけられる。
この手にあるシルクのストールを早く渡さなきゃ、彼女が去ってしまうのに。
黒塗りのメルセデスの車のドアを開け、蘭さんをエスコートする男性の姿に体が動かない。
蘭さんの彼って…祐くん、だったの――?