この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


真下へと一直線に向かった理由、それは…――



“このあともお買い物なさいますか?
もし宜しければ、お預かりいたしますよ?”


“ありがとうございます――でも、もう帰りますので…。
実はもうすぐ旅行で、その準備があるから…”


“彼女は明後日から、彼と海外ハネムーンなのよ”


“菫ってば、そんな…”


こんなやり取りを交わしていたし、あのまま帰ったと推察出来るからだ。



「申し訳ございません、失礼いたします…!」


お客様の脇をすり抜けるようにして、カンカンと軽快なヒール音でエスカレーターを降りれば。


4階にある-ange-から地上1階への到達は、そう時間がかからずに済んだ。


< 45 / 178 >

この作品をシェア

pagetop