お姫様の苦悩
ふっと顔を上げた彼女は綺麗に微笑み、俺の心に矢が刺さる。





「いいえ、お礼を述べるのはこちらの方です。本日はプリンスグランデウエディングをご利用頂き誠にありがとうございます。」





頭を下げた彼女から、耳にかけた髪が一房零れ落ちる。





俺は更にこれが運命だと確信した。





好きだとか、愛してるとかじゃない。





このなんとも言えない気持ちは自分でもわからないが、とにかく俺は彼女に心底惚れ込んだ。





一目惚れが先か、運命と感じたのが先かわからない。





「芹沢さん、あなたに運命を感じました。俺と、結婚して下さい。」


「失礼ですがお客様、私は結婚詐欺に引っ掛かるほど愚かな女じゃありません。」





俺の一世一代の告白は呆気なく、詐欺師だと勘違いされ叩き落とされてしまった。




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