屍都市Ⅱ
落ち着いた雰囲気の店内。

珈琲豆を焙煎する香りだけが漂っている。

本当に珈琲を好む通のみが足繁く通うような、専門店のようだ。

だがそれ程珍しい店でもない。

ここのどこが、反政府組織のアジトなのか…。

「こっちです」

夕映が手招きしたのは、店のカウンターの向こう側。

本来客が立ち入る事のない、いわば厨房だった。

招かれるままに足を踏み入れた鬼島が見たもの。

それは…。

「驚いたな…」

スナイパーライフル、アサルトライフル、ハンドガン、グレネード、マシンガン…。

新旧問わずありとあらゆる銃火器が、所狭しと並べられている。

厨房にあるのは食器や調理器具ではなく、反政府組織が非合法に調達してきた武器の数々だった。

「好きなのを持っていって」

純が鬼島に言う。

「生きてこの街を脱出するつもりなら、武器は必要でしょ?」

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