猫を拾いました。
落ちては消えゆく、雪の中。
凍えた黒猫は、私の手に手を伸ばした。


冷たい、冷え切った手。
どれくらい、あそこに居たのだろう。

「……南智」
「何?」
「ネコって……そのままだよね」

私は、うるさい!と言いながら、笑う彼を連れて公園を出た。


「綺麗だねー、雪」


脳天気な黒猫は、空を見上げて楽しそうに笑う。

彼には、聞きたいことがたくさんある。
どうしてあそこにいたの?
どうしてあんなことをしていたの?

でも、それはまず、帰って暖まってから……



と、ここまで考えて思い出した。


家、入れないんだった……!

「どうしよう!家の鍵、落としちゃったの……!」
「鍵?」
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