小悪魔カレシ。
いつも泣いてばかりいた、弱虫の奏汰。
記憶から薄れてしまってはいたけれど、忘れたりなんかしない、懐かしい幼なじみと同じ名前。
奏汰が戻って来た……?
そんなワケ、ないか。
まじまじと転校生を凝視してみたものの、泣き虫奏汰とは似ても似つかない。
自信に満ち溢れた表情も、不遜にすら思える落ち着いた態度も、彼と奏汰では違いすぎる。
奏汰ははかなげで可憐な雰囲気の男の子だった。
こんなチャラ男に成長するワケがない。
ないと……思いたい。
「昔、アメリカに引っ越す前はこの街に住んでたし、知ってる奴も多いと思うけど……よろしくな」
「…………」
衝撃的な言葉に、絶句するしかない。
信じたくないけど……
こいつはどうやらあの幼なじみの奏汰らしい。