小悪魔カレシ。
男たるもの、制服はきっちり硬派に着るべきよっ!
邪魔になるアクセをわざわざ付ける意味がわからないし、ワックスだの何だのを使って髪を盛るなんて、理解不能。
全く、女々しいったらありゃしない。
男なら!
坊主でしょ!!
リキのワイルドに剃りあげられた坊主頭を思い起こしながら、教壇に立った転校生と比べてみる。
うげ……!
やっぱ、チャラい。
無意識に今朝のナンパ野郎を思い出してしまった。
あーやだやだ!
あーゆーのとは絶対仲良くなれなさそう。
「どーも。橘奏汰(タチバナソウタ)っす」
嫌悪感に顔を背けたあたしの耳に、聞き慣れた名前が飛び込んでくる。
蘇るのは、
幼い頃の記憶──……。
あたしはその名を知っている。