夕陽


「・・・あぁ。見ていた。」

無口(?)な人が言う。
やっべーよ!屯所内じゃあ恋する乙女で通ってるのにこれじゃ独り言女に成り下がっちゃうじゃんかあ!


「ええとですね!こここれは!そうです!あっちにねね猫が!いたんですよよよ!だだだから!
・・・忘れてください!」

無口な人の裾を掴み、必死にお願いする。うわ顔ちけぇ。めっさくさかっこえぇ!

「別に言うつもりはない。・・・朝駒へ行きたいのだが。」


ぺしっと智咲の手を払いながら言う。


「あ、そうですかァ!
じ、邪魔でしたか!えと、では一緒に朝駒へ行きませんか?」


赤面しつつも言う


「・・・勝手にしろ」


ぷいっとそっぽを向き、どんどん歩いていく。

「あの!そっち、逆の方角・・・。」

「・・・そうか。」


くるっと向きを変え、歩き出す。
その後を智咲が追う。


「えっと!まだ名前聞いてませんでした!よければ教えて頂けませんか!」

「・・・斎藤一だ。」


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