夕陽



「・・・・・?うん。」


ちょっとだけ気になったので、聞いてみることにした。



「鬼について、だよ。はっきり言って智咲はちゃんとした『鬼』じゃない。ちゃんとした覚醒してないってこと。」


栄太郎はにやり、と笑う。


「覚醒・・・・・?」



「そ。智咲の今の状態は、卵。殻からでようと思えば出られる。このままでいいと思えばずっとこのまま。智咲は本物の鬼になりたい?」


「・・・わかんないよ。そんな急に。本物の鬼と覚醒前の鬼の違いは何?」



首を傾げる。



「んー。あんまかわんないけど、本物の鬼は死んでも死なない。年をとらない。容姿もずっとこのまま。不老不死ってこと。それに、本物の鬼の血は、どんな不治の病も必ず治す薬になる。まぁ、まだあるけど面倒だからいいや。」


「不治の病の薬・・・」


そしたら総司さんの結核も治せる・・・。


「ひとつだけ注意。本物の鬼の死ぬ方法はまだわからない。だから、人がみんな死んでも俺達は死なない。ずっと一人。」


よくわからなきなってきたぁ。頭が混乱する。


「まぁ一応見せてあげる。俺は本物の鬼だからね。ついておいで。」


そう言って栄太郎は路地裏へ向かう。そのあとを智咲が追う。



< 203 / 462 >

この作品をシェア

pagetop