夕陽




ひと時の思い出に浸る。頭を現実に戻す。



私の背中には、羽。黒い羽。


この国の鳥にたとえると、鴉というらしい。




私の背中を見て、男の人2人は、目を見開く。



でも、私が驚いたのは、第三の瞳を開いたお姉ちゃんだった。




羽が、片方ないのだ。片翼とでもいうのだろうか。




それでもお姉ちゃんは苦しそうにもがく。



「お姉ちゃん、大丈夫だよ。もうすぐで楽になるから。」



そういってお姉ちゃんの頭をなでる。お姉ちゃんは必死になって私を睨む。




何故?





「わた、しは・・・ずっとここにいる!すぅちゃんの言う、お姉ちゃんじゃない!すぅちゃんの言っているお姉ちゃんは死んだの!」



「違うよ。私がお姉ちゃんを喰べて、それでお姉ちゃんが産まれたんだよ。」



「でも、私はお姉ちゃんじゃない!橘智咲!ちゃんとした名前があるの!」



違う。違うよ。お姉ちゃんは生きてる。


必死に言葉にする。



「すぅちゃんは、歪んでる!!」




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