微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

体を起こし、壁掛け時計で時間を確認すると、午後4時10分を過ぎた所。

熱のせいか、頭が鈍く痛み出す。

その上、少し……寒気もする。


……明日も、学校は休みだ。

連休初日に風邪をひくなんて、なんか……損した気分。

ゴールデンウイーク開けには多分、風邪は治っているだろうし……

学校を休む理由にもならない。


それにしてもさっき……
何か、夢を見ていた気がする。

目が覚める直前、額に感じた手の感触……

ぼんやりとした頭で昔、母が同じように熱を計ってくれた事を思い出した。

その手が離れていくのが寂しくて、手を伸ばせば優しく握り返される。


目を開ければ、微かに微笑む芳野さん――


が、いた気がして急速に覚醒する頭。

はっきりと覚醒した頭で見えたのは、いつもの無表情な芳野さんだった。


何だったんだろう……あれは。

しかも、芳野さんの手を掴みながら“母さん”とか、口走っていた気がする……

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