微笑みは瞳の奥へ(更新休止中)

しばらくテレビを見ていると、携帯が鳴った。

相手は……母だ。

芳野さんが初めて家に来た日、電話で口論してから連絡が無かった。

俺もあんな切り方したから気まずくて、自分から連絡出来ずにいたし……


「……もしもし?」

「甲太朗……。久しぶり」

9日ぶりに聞いた母の声は少し掠れていた。

「どうしたの? 声、元気無いけど……」

「ううん、大丈夫……そっちはどう?」

「変わり無いよ。お手伝いさんもいい人だし」

「そう……よかったわ。たまたまね、郵便受けにチラシが入ってたのよ。電話一本、即日OK、何でもやりますご相談下さい――って」

「へえ……」

もしかして……即日OKとかいう所に惹かれたのだろうか。




< 56 / 59 >

この作品をシェア

pagetop