色は聴こえないけれど
「よし。動いていいぞ、お嬢」
白黒のデッサンから始め、色を加えていき完成した一枚の絵。
最後に色落ちしないためにフィキサチーフを吹きかける。
「もう終わってしまったのか。なかなか早いものだな少年」
白い紙に描かれた見目麗しい、とある女神の肖像画。
「慣れたからな」
その女神は決して両の目を開く事なく、世界を見る。
「ボクも見てみたいものだな」
「……それは言うな」
光ではなく、音の中で……。
「あ~、残念だ。少年の姿と、少年の下心満載に描かれたボクの姿が見れないとは」
「気まずくなった俺がバカだった!」
しかし、それはまた別の物語[roman]にて――

