あひるの仔に天使の羽根を
「桜!!! 顕現できるようになった!!!」
煌の声と同時に顕現させる私の裂岩糸。
遠坂由香は、芹霞さんを震えながら抱き締めてくれている。
今の彼女は機械を扱える状況にない。
私が、私達が守らねば!!
絶対近づけさせない。
黒と橙色。
糸と刀が、周囲の屍を切り裂いていく。
真逆な存在である私達が、1つとなっていく。
「よし!!! 闇の力が…戻ってきている!!!」
突如櫂様は、仰け反るようにして黒く発光した。
その凄まじい力の体感に、私の肌という肌がびりびりとする。
そして、高揚する。
ああ、櫂様は凄い。
漆黒なのに、この眩しさ。
私には紫堂の力というものはないけれど、それでも判る。
櫂様と私は次元が違うのだ。
うねるようなその力は、2ヶ月前を思い出すけれど。
私は、何て素晴らしい方にお仕えしていたのだろうか。
この方に必要とされる私になりたい。
切にそう願った。