あひるの仔に天使の羽根を
「おい玲。妄想中悪いけどよ。芹霞が櫂の了承をとらないといけねえ時点で、お前やばくねえ?」
全くもって状況が面白くない橙色の少年は、鼻でせせら笑う。
「そんなの…2人になれば、こっちのものだから」
しかし年の功。
何とも意味ありげな妖しげな色気で微笑まれ、橙色の少年の顔は引き攣った。
「いいか、絶対、絶対手をだすなよ。畜生、何だって…どさくさ紛れて"お試し"消化できたはずを、ぶり返すんだ、阿呆タレめ」
ぎりぎりと歯軋りをする少年に、黒い少年はやってられないというように、嘆きの溜息を1つついた。
漆黒の少年は、端正な顔を不愉快そうに歪めたまま、いつものように少女に厳しく勉強を教える。それでなくとも退院したばかり。愛しい少女に教えてと首を傾げられて拒絶できるはずもなく。
手厳しくしても食らいつく少女を、更に忌々しげに睨みながら、自分の提案を後悔する羽目となる。
「なあ…こう見れば、繋がってるんだよな、"約束の地(カナン)"に」
もう既に勉強を諦めた橙色の少年が、窓の外の景色を見ながら言った。
「同じ空の下、あいつらも必死に生きていたんだなあ」
「煌。"生きている"!!!」
少女がきっと睨み付ける。
「悪ぃ。遊園地か…。子供が沢山遊びに来て…悦ぶだろうな、月…旭」
――きゃははははは。
「悦んでも精神年齢は、お前より遙かに上だからね」
白皙の青年の毒に、
「あ、あいつらは俺より年上だから仕方がねえだろ? でもまあ…久遠が俺達と7つ違いっていうのには驚いたが」
「……煌」
漆黒の瞳が向けられた。