あひるの仔に天使の羽根を
「久遠は何歳だと、芹霞から聞いた?」
「あ? 19だろ」
橙色の少年は、何故皆が黙っているのかが判らない。
「緋狭さんの年齢は?」
「俺より7つ上だろ? 24だよな、老け…いやなんでもねえ」
「久遠は13年前に時が止まっている。つまり13年前が19歳ということだ。その時、緋狭さんは何歳だ?」
「久遠と同じ歳なんだから、19歳だろ?」
どこからともなく大きな溜息が聞こえて、橙色の少年は不機嫌となる。
「馬鹿蜜柑。本当に馬鹿だと思っていたけど、やっぱり馬鹿蜜柑。
どうして……
24から13引いて、19になるんだ!!!
てめえ…小学校からやり直してこい!!!」
「え? はああ!? じゃあ何だよ、久遠も緋狭姉も俺をはめたのかよ!!!」
「判ってなかったのはてめえだけ……」
ぽとっと何かが落ちる音がして、黒い少年は怒りを静めた。
それは少女。少女の手から、シャープペンが転げ落ちていた。
「本当だ…24から13引いたら、19にならない」
判っていなかったのは少女も同じだったようで。
「じゃあ久遠は、19+13で…OH!!!
でもまあ、男は三十路からって言うし」
「――何の、かな? 芹霞」
白皙の青年が、えげつない顔でにっこり微笑んで。
「ねえ芹霞。計算方法が判らないなら、僕が特別個人授業で優しく…手取り足取り教えて上げるよ? それ以外にも、イロイロ教えてあげる」
そう耳元に囁いて、ふっと息を吹きかければ。
「……玲!!!」
漆黒の少年が少女を奪った。