あひるの仔に天使の羽根を


己の感情など、一番に切り捨てるべき事項で。


――話しようぜ?


私情に走った愚行が何を意味するのか、

私にだって判る。


場の空気を…櫂様と玲様の凄惨な表情を

読み取れぬのは煌と芹霞さんで。


だからなのだ。


どうしても――

何としても――


2人を一緒にしてはいけないと心が逸ったのは。


そう、櫂様と玲様を案じてのことなのだ。


こんなに心が苦しくなったのは。


だから、忠告してしまったんだ。


――てめえが何ほざいても、何1つ変わらない。

――無駄だ。


どうしてこんなにすんなりと言葉が出たのか判らない。


まるで――


――芹霞さんへの情など、押し殺してしまえ。


自分にいつもいい聞かせている言葉のように。


ありえない。


この鬱屈した思いの原因は馬鹿蜜柑であって。


――何泣きそうな顔してんだよ、桜。


どうして私が泣かねばならないのか。


私はただ諫めているだけで。




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