あひるの仔に天使の羽根を
 
そして仰け反る様にして、絞り出すように叫んだ。



「どうすればいいんだよ……。お前を手に入れる為には、どうすればいいんだよ俺は……ッッ!!!」



くらくらする。



薔薇の匂いに。


須臾の匂いに。



「どうすれば、俺だけのものに出来るんだよ。

どうすれば、こんなに苦しい想いが伝わるんだよ…。


心が――

何でこんなに遠いんだよッッ!!」



相容れぬ関係だと――


そう言いたいの、櫂?




ああ――

目が霞んで来る。



ああ――

ざわめきが遠くで拡がる。





「神崎ッ!!?」



「芹霞さん!!?」






ふふふ。



櫂の声が、由香ちゃんや桜ちゃんの声に聞こえてきたよ。


皆凄く切羽詰まった声を出していて。



夢かな。


夢だといいな。



夢から覚めたら。



いつもみたいに、皆で笑いあうの。


平和な毎日を過ごすの。



――せり。



もう、離れる怖れもなく。



――せり。



あたしは永遠を手に入れて。




――汝、選べよ。





神様――


あたしの選択は間違っていますか。




神様――


あたしに……


真実の永遠を下さい――。
< 363 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop