あひるの仔に天使の羽根を


「!!!」




間違いなく――


人間の…男の頭だった。




千切られた頸。


肉が削がれた頬。




それが一体何を意味しているのか。




よろめきながら、その山を見つめれば――



それは屍の山で。



男ばかり。


力任せに捻りとられたような四肢や胴体、そして頭の残骸。


肉がほとんどついていなく、半ば白骨化したものもあり。


"食い散らかされた"明らかな痕跡に。


俺は思わず口を手で覆って、それでも堪えきれずに吐いてしまった。



本気かよ?


本気で、人間食われているのかよ?



ぴちゃり。



俺ではない、何かの音が聞こえた。



ぴちゃり。


幻聴じゃねえ。



何かを舐めているような音。



俺は、本能的にその音を目で追う。



何かが――居た。



ここからではよく確認出来ねえが、


ゆっくりと蠢(うごめ)く…物体がある。



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