ご主人様はお医者様
「私は先生にお金で雇われた。だから、確かに先生のものです。体も心も……でもこんなのひど過ぎます」
どうしよう、声が震えて……言葉にならない――。
「ハル、悪かった。そんなつもりじゃ……」
そう言って私の事を優しく抱きしめる。
だめ……、
優しくしないで。
だって、その優しさは愛じゃない――。
「…………先生はずるい。
こんなに好きにさせておいて、何も言わずにお見合いしちゃうなんて!!」
「どうしてその事を!?」
「私、出て行きます。だからお金は全額お返しします!!
これ以上先生の傍にいたら、もっと先生のこと好きになっちゃう。そうしたら私……」
私、苦しくて死んじゃう――――…。
「おい、見合いのこと誰にきい…」
「せんせい、さよなら…」
そう言って私は仮眠室を飛び出した。
――「ハル、まてっ――」
ドアが閉まる瞬間、先生は何かを言いかけていた。
でも、私はもう先生の所には戻らない――。
視界がぼやける。
涙が溢れて止まらい。
胸が苦しくて――張り裂けそうだよ……。