逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


学校から自転車をすっ飛ばして、咲下の家のアパートにやってきた。



――ドンドンッ。



「咲下っ」



ドアを拳で叩きながら中に呼びかけるけど、



「咲下っ!」



何度呼びかけても応答はなかった。



俺は、ドア横にある表札が空白になっていることに気づく。



間に合わなかった……。



ここにはもう、いない。



咲下はここに戻ってこない。



行ってしまったんだ……。



気持ちばかりが焦っていく。



学校からアパートまでの道の途中、バス停に咲下の姿はなかった。



もうバスに乗って行ってしまったんだろうか。



落ちつけ、冷静に考えろ。



バスに乗っていったんなら、終点のバス停に向かえばいい?



いや、終点のバス停は隣町の駅だったよな。



だったらバスよりも電車で行ったほうが全然早いけど……。



電車……駅に向かった……?



俺は、ここからいちばん近い駅へ向かって自転車で走り出す。
< 132 / 528 >

この作品をシェア

pagetop