逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
学校から自転車をすっ飛ばして、咲下の家のアパートにやってきた。
――ドンドンッ。
「咲下っ」
ドアを拳で叩きながら中に呼びかけるけど、
「咲下っ!」
何度呼びかけても応答はなかった。
俺は、ドア横にある表札が空白になっていることに気づく。
間に合わなかった……。
ここにはもう、いない。
咲下はここに戻ってこない。
行ってしまったんだ……。
気持ちばかりが焦っていく。
学校からアパートまでの道の途中、バス停に咲下の姿はなかった。
もうバスに乗って行ってしまったんだろうか。
落ちつけ、冷静に考えろ。
バスに乗っていったんなら、終点のバス停に向かえばいい?
いや、終点のバス停は隣町の駅だったよな。
だったらバスよりも電車で行ったほうが全然早いけど……。
電車……駅に向かった……?
俺は、ここからいちばん近い駅へ向かって自転車で走り出す。