逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


そのあとすぐに修学旅行があって。



沖縄の最後の夜にバルコニーで星空を見てたら、偶然そこに咲下がやってきた。



『橘くんも星空が見たくてここに?』

『うん』



咲下のパジャマ姿が可愛くて、



自分が着てたパーカーを咲下の肩にかけたとき、すっげぇドキドキしてたのを覚えてる。



見回りにきた先生に見つからないように、テーブルの下にふたりで隠れたときも。



咲下の顔が目の前にあって。



見つめ合った瞬間、俺の心臓が止まるかもしれないって思った。



奇跡のような偶然も起こった。



星砂のキーホルダーを咲下に渡そうとしたら、咲下も同じのを買ってたこと。



星砂が願いを叶えてくれるという話に、咲下は俺の願い事を聞いた。



『願い事かぁ……考えとく』

『思いついたら、いつかあたしにも教えて?』



ドキドキしながら、咲下の手をとって。



『約束する』



指きりをした……。



幸せな夜だった。一生、忘れないって思った。



でも、幸せは長くは続かなくて――。







「ハァ、ハァ……」



咲下がまだこの街にいるかもしれないと、俺は駅に向かって必死に自転車をこいでいた。



――カシャンッ。



その音に、制服のズボンのポケットから星砂のキーホルダーが地面に落ちたことに気づく。



――ギーッ。



急ブレーキをかけて、俺は自転車から降りた。



駆け寄って、地面に落ちたキーホルダーに手を伸ばす。



その時、



――ファァァ――――ン!



車の大きなクラクションが聞こえた。



「ハッ……!」



俺が顔を上げると、車が猛スピードで走ってくる。
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