逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
――ブォォォン……。
車は、ギリギリのところで俺を避けて、走り去っていった。
「ハァ……ハァ……」
俺は星砂のキーホルダーをぎゅっと握りしめて、その場に立ちつくす……。
咲下……。
あの日、キミは泣いていたね。
放課後、雨の中の公園で、傘もささずに……。
『どした?何があった?』
『ううん……なんでもないよ』
つらいはずなのに笑顔を見せて。
ひとりで抱え込んで。
誰にも言えずに苦しんでた。
その苦しんでる理由が俺にはわからなくて、でもほっとけなくて。
頼って欲しくて。
俺はずっと見守ってた。
咲下が本音を言ってくれたのは、トラックに轢かれそうになった咲下を助けた時だった。
『お母さんを……助けて……』
誰にも言えなくて。
“助けて”って言えなくて。
どれほど、つらかっただろう。
咲下を助けてあげたかった。
ひとりで抱えてる苦しみを、全部とは言わない。
せめて、その半分だけでも俺が持ってあげたかった。
あの夜、ふたり体を寄せ合って。
手を繋いで眠った。
『朝までずっと、そばにいるから』
咲下は俺の肩にもたれて、眠ってるときも涙を流してた。
震える小さな肩も。
涙で濡れた寝顔も。
ぬくもりも髪の香りも。
あの夜のすべてを覚えてる。