逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



電車が見えなくなっても、その場所から動けずにいた。



いつのまにか、空から粉雪が舞い始めていたことに気づく。



どこにも行かないで。



ずっと俺のそばにいて。



好きだから……。



そんなこと、言えるわけなかった。



ポケットの中から、咲下の手紙を取り出して見つめる。



“最後までこの街から、離れたくなかったんだと思います”



“ひとりで生きていけるわけもなく、黙って大人に従うことしか出来ませんでした”



手紙の上にポタッと涙が一粒落ちた。文字が滲んでいく。



いまの俺に、何か言う資格なんてないよな。



咲下のこと、守ってあげられなくてごめんな。



なんの力もなくて、頼りなくて。



本当にごめん……でも……。



いつか、逢いに行く。



いつかきっと、迎えに行く。



早く大人になって、



頼れる男になって



守れる男になって



その時は、それから先は……



キミを絶対に幸せにする。



だから……。



待ってて……咲下……。
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