逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「いつかまた……逢えるよな?」
俺が聞くと、
咲下は俺の顔を見ずに、小さく首を横に振った。
「……元気でね」
そう言って彼女は、
俺の手をほどいて、電車に乗り込んだ。
「咲下っ」
ドアが閉まり、ゆっくりと電車が動き出す。
――ガタン……ゴトン……。
「咲下っ!」
どんなに叫んでも
どんなに名前を呼んでも、
咲下は背を向けたまま、俺の方に振り返ることはなかった。
それでも呼び続けた。
彼女の名前を。
何度も、何度も。
「咲下……っ」
ドア越しに咲下の後ろ姿を見つめたまま、俺は走ってく電車を必死に追いかけていく。
「咲下――っ」
俺の声、聞こえてるはずなのに
こっちを向いてくれないのは
俺を見てくれないのは……
それが咲下の答えだから。
これが最後だって。
もう二度と逢えないって。
咲下はそう思ってるかもしんねーけど。
俺たち……こんなふうに
さよならするために
そのために出逢ったわけじゃない……!
「咲下ぁ―――――っ!」
ホームの端に立ち、遠くに走り去っていく電車に向かって、力の限り叫んだ。