逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


転校初日。



午前中の授業が終わって、いまやっとお昼休み。



ひとりになりたくて、あたしは屋上へとやってきた。



誰もいない静かな屋上は、冬の昼間でも、陽の光でポカポカして暖かい。



それに綺麗な青い空も広がって、白い雲がゆっくりと流れている。



家も学校も息苦しい。



本当の自分は

どこにいるんだろう。



そのままの自分でいられる場所は、もうない。



この狭く暗い世界から

逃げ出したくても



逃げる場所なんて、どこにもない。



柵につかまって立ち、思いっきり深呼吸をする。



「……っ、はぁ……」



鳥が飛んでく姿を目で追いかけながら、遠くの景色を見つめる。



あたしが住んでた街は、ここから見えないけど。



それでも方角は、あっちの方かな……



なんて、そんなことを考えてみる。



もう……あの街には戻れないのに。



忘れなくちゃいけないのに……。



ブレザーのポケットから星砂のキーホルダーを取り出し、てのひらに乗せて見つめる。



いつか、忘れられる……?



忘れることなんて……できるのかな……。



「ここで何しよん?」
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