逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


「陽太くんは何も聞かないんだね」



「俺?人の過去とか気にせん。大切なんは今やって、そう思うとる」



彼は明るくて、常に笑顔を絶やさない。



だけど無理して、そんなふうにしてるようには見えなかった。



「陽太くんはさ……いつもそうなの?暗い気持ちになったり、後ろ向きなこと考えたりしないの?」



「んー。後ろ向きなことを1分考えるくらいなら、前向きなこと1分考えてみる」



彼が明るいのは、いつだって前を向いてるからかもしれないと。



この時、そう思った。



「それが俺なりの、今を大切にするいうことやけん」



後ろ向きなことを1分考えるくらいなら、



前向きなことを1分考えてみる。



それが陽太くんなりの“今”を大切にする方法。



「今この瞬間を大切にするんは、別に無理せんでもできるけん」



特別なにかを頑張ったりしなくても。



無理なんかしなくても。



誰でも。

こんなあたしでも。



たった1分でも。



“今”を大切にすることはできるよって。



そう言われてる気がした。


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