逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


「なん?これ。詩?」



陽太くんはあたしのノートを持ったまま離さない。



「ちょっと!勝手に見ないでよね!」



あたしは陽太くんからノートを取り上げた。



「詩やろ?読ませてぇや」



「やだよぉ」



絶対バカにされるに決まってるもん。



「なんでなん?隠さんでもええやん」



「だって……」



「俺、そんな素敵な趣味持っとる子、初めて会うたわ」



バカにされるって思ってたのに。



絶対、笑い飛ばされると思ったのに。



「いつから詩、書いてたん?」



陽太くんは、その瞳をキラキラと輝かせて、真っ直ぐにあたしを見ていた。



「中学の頃から……たまにノートに書いてたの……。初めて書いた詩は、いまでも忘れてない……」



「へぇー。どんな詩?」



「やだよ。ヒミツ!」



「教えてぇや。誰にも言わんて」



「恥ずかしいもん。絶対言わないっ」



でもね……マジメに聞いてくれてうれしかったよ。



陽太くんて、やっぱりそういう人なんだね。



人をバカにしたりしない。



人の悪いところじゃなくて、良いところを見ようとする。



自分にだけじゃなくて、人に対しても前向きな人。



「なんで詩を書こうと思うた?きっかけとかあるん?」



「うーん……なんとなく?」



本当は、つらいことがあったとき、自分を励ますために詩を書いてた。



詩を考えてると、ほんの一瞬でも、



つらいことを忘れられたから。
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